読書噺

ジョージ・オーウェル『動物農場』のれびゅ〜。

農場主に「反乱」を起こし、「動物農場」という「自由」な世界を手に入れた動物達。すると今度は、彼らを主導した豚達による独裁時代が幕を開けて……。 『1984』で有名なオーウェルの、いわゆる「共産主義」批判モノ。 注目すべきは、その童話的(表題でも「お…

ジョルジュ・バタイユ『マダム・エドワルダ/目玉の話』

20世紀において「孤独と性」について、最も深く考えた思想家の一人にして作家でもあるジョルジュ・バタイユ。 彼の作家としての代表作二篇が納められた本書は、必読に値する。 (「眼球譚」を読んだ人にも「目玉の話」はおすすめ。改訳され、読みやすくなると…

前島賢『セカイ系とは何か―ポスト・エヴァのオタク史―』読後感想

「セカイ系」という言葉が、一つの定義のなかに「まとめきれない」という事実を、ありのままに「まとめきった」力作。新たな知識を得る感動だけではなく、近年なかなか味わえない熱意への感動が本書にはある。ただ、こういった書物は、自然と感想もまとまり…

谷川流『涼宮ハルヒの消失』読後感想

映画観る前に『涼宮ハルヒの消失』読了。 これが、世のオタク達に自己言及を迫る作品(ああいうSOS団じゃなきゃ嫌なんでしょ? そうじゃなきゃアンタ達もキョンと同じく居場所を失っちゃうでしょ? 的な)であることは明白だ。オタクであることを自覚する人に…

ミルトン『自由共和国建設論』読後感想(追記

先々週、ミルトン『言論・出版の自由』を図書館で借りてきた。 本編のほうは、昔読んだことがあり、相変わらず感心したのだけど、併せて掲載されている『自由共和国建設論』に関しては記憶が曖昧だったため、じっくりと、何度も何度も読み返した。ここには、…

ラスト4ページ

大江健三郎『水死』を読了。無教養な私は、言葉の意味をいちいち咀嚼しながら、時間をかけてこの本を読んだ。 そして、読み終えたいま、その「かい」とでもいうべきものを――つまり、素晴らしい「読書体験」を得た、という確信のようなものを――ぞっとするよう…