ジョージ・オーウェル『動物農場』のれびゅ〜。

農場主に「反乱」を起こし、「動物農場」という「自由」な世界を手に入れた動物達。すると今度は、彼らを主導した豚達による独裁時代が幕を開けて……。

1984』で有名なオーウェルの、いわゆる「共産主義」批判モノ。
注目すべきは、その童話的(表題でも「おとぎばなし」と書かれているのだけど)だが冷淡な語り口にある。
この語り手は、「嘘」も「本当」も、すべて現れるままに読み上げて、一切なにも断罪しない。豚達の小賢しさについても、動物達の愚鈍さについても、まったく言及しない。その、如何にもわざとらしい「盲目っぷり」が、我々読者に不穏な感じを覚えさせるのだ。

それは、動物達が、豚達の「嘘」に対して、どこか変だなあ、と思っている、その感じとリンクする。

どこか変だなあ、と思い、また、その理由を知りながらも、我々は、この「語り」に干渉できない。動物達もまた、その頭の悪さのせいで、まず何が「変」なのか思考する前に、それぞれ豚に言いくるめられてしまう。

この不穏な感じこそが、いわゆる「ディストピア」の、本質的なイメージなのかもしれない。

是非とも、歯軋りしながら読んで欲しい一冊。

動物農場―おとぎばなし (岩波文庫)

動物農場―おとぎばなし (岩波文庫)